「………べ、べつに、逃げたわけでは………」





もごもごと答えると、南くんは「ほんとに?」と疑わしそうな目で訊ね返してくる。





「いや、用事思い出して……」





後ろめたくて、またうつむいてしまう。





「なんの用事ですか」




「えっ!? いや、うーん………」




「教えてください」




「えっ、えーとぉ………」




「嘘ついたんですか」




「はっ!?」





思わずぱっと顔を上げると、南くんが眉をひそめてじっと見つめていた。





その反応に、むかむかと怒りがこみあげてくる。





あたしだって、嘘つきたくてついたんじゃないし!!




気まずくて、顔を合わせられないんだよ。




そんで、それは………






「南くんのせいでしょ!!」