そのすきにあたしは立ち上がり、教室を出てしばらく行ったところにある自販機で、缶コーヒーを二つ買った。




たしか南くんはカフェオレをよく飲んでいたはず。



あたしは今日はブラックの気分。




一本ずつ手に持って教室に戻ると、南くんはものすごく集中した様子で、原稿の読み上げをしていた。




あたしが指摘した部分の言い方を練習しているらしい。




あぁもう、素直だなぁ………。




微笑ましくなって、ちょっとからかってやりたくなる。




あたしは足音を忍ばせてそろりそろりと南くんの背後に回った。




そして、よく冷えたコーヒーの缶を、俯いている南くんの首筋に当てた。





「―――わっ!!」





南くんが叫んで、ぱっと振り向いた。