二人きりの教室。



教壇の上に立って淡々と語る南くんの模擬発表は、なかなか完成度が高かった。



ちゃんと自分で調べて自分で考えて出した結論だから、自信を持って喋っているので、聞いているほうも安心する感じ。



教授たちの手がたくさん入っている研究だと、学生のほうは自分が何をやってるんだか分からなくなってしまっていて、やけに自信なさげに発表することも多いのだ。





「まぁ、ちょっと声が小さいけどね」




「あ、そうですか、気をつけます……」




「あとさ、えーとこのへん、前半とばして後半しゃべっちゃって、すぐ次につなげたほうが分かりやすいかも」




「あ、たしかに」





南くんはこくこくと頷いて、発表用原稿に書き込みをはじめた。