予想通りの答えだったけど、ここは引き下がるわけにはいかないのだ。






「南くんは教授たちから期待されてんだからね?


修士課程はいったばっかりでいきなり学会発表させてもらうなんて、かなーり異例なんだよ!


だから、その期待を信頼を裏切るようなショボい発表したら、磯辺先生の顔に泥塗るようなものなんだから」






そう、南くんは、めんどくさがりのくせにめちゃめちゃ優秀なのだ。




南くんがD大学に提出した卒業論文は、あたしも読ませてもらったけど。



豊富な用例に基づく帰納的な手法で、とても丁寧に綿密な分析をして、論理的破綻の全くない整然とした結論を導き出した、学部生とは思えないクオリティのものだった。



D大学の教授たちも、こんな優秀な学生は、さぞ逃したくなかっただろうな。