「なんでこんな緊張感のないネクタイなんかつけてきちゃったの!?」





いつものごとく、「めんどくさいから」………という返事がくるのは覚悟していた。んだけど。





「え……いや、ネクタイ持ってなかったんで、父にどれか貸してくれって頼んだら、これが送られてきて」




「…………」





―――変人の親は、やっぱり変人なのか。



あたしは血というものの、そして遺伝というものの恐ろしさを、改めて思い知った。




自然の驚異と人体の神秘にあたしが呆然としていると。





「これ、俺が小学生のときに、父の日にプレゼントしたものなんです………ふふ」





南くんはすこし照れくさそうに、ポケ〇ン柄のネクタイを愛おしげに撫でながら言った。