忙しさにかまけて研究をそっちのけにしてしまっている自分を省みながら歩いていると。





「橘さん」





背後から呼ぶ声に、あたしは振り向いた。



正門の向こうに、猫背すぎる立ち姿。



南くんだ。




あたしは「おはよ」と言って足を止め、南くんが追いつくのを待った。





さっそく、隣に立った南くんの服装チェック。



今日は学会なんだから、ちゃんとした格好をしてなきゃいけない。




おっ、ちゃんとスーツ着て来たじゃん………って、





「――――えぇっ!?」





あたしは叫び声とともにがばっと顔を上げ、南くんを凝視した。