「え……それはなんか悪いです……」





「気にしないでよ、あたしがしてあげたくてしてるんだから。

ほら、これとかどう? 使いやすそうだよ」





「え、えぇ~………」





南くんは困ったように頭をかいていたけど、観念したように財布を物色しはじめた。





「………じゃあ、これで」





南くんが選んだのは、数ある財布の中でもっともシンプルで、値段の安いものだった。



遠慮したんだろうな、とは思ったけど、無理やり高いものを押しつけるのも逆に気をつかわせるかなと思って、あたしはその財布をレジに持って行った。