会計係の女の子も目を点にして、南くんの手元を眺めていた。





「それが財布……?」




「はぁ、そうですけど」




「なんでちゃんとした財布使わないの?」




「いや、2年前にそれまで使ってた財布が壊れちゃって。新しいの買うのが」




「めんどくさかったのね、はいはい……」





あたしははーっとため息を吐き出した。





「でもそれ、ただのビニール袋じゃん! 破れたら中身出ちゃうでしょ!」




「まぁ、そうでしょうね……」





南くんは素直に頷いたものの、だからと言って、「そうだ、財布、買おう」みたいな思考になっていないのは一目瞭然だった。





―――ったく、しょうがないやつ!!