「………まさか、その筆箱、小学生のときから使い続けて……」




「ますよ、もちろん」




「……その理由はもちろん、中身入れ替えるのが」




「めんどくさいからです」




「でしょうね〜……」






やばい、南くんの考えてることが分かるようになってきてしまった……。




いかんいかん、あたしまで変人になってしまう!





「これ、すごくいいんです」





あたしが内心で青ざめているのに気づくよしもなく、南くんはなぜか少し嬉しそうにステゴサウルスの筆箱を撫でている。





「丈夫だし、大容量だし、鉛筆が固定できるから中で転がったり芯が折れたりする心配ないし、鉛筆削りまで付いてるし。


橘さんもそんな小さい巾着袋みたいな筆箱はやめて、こういうのにしたらどうですか?」





「いえ、あたしはこれでいいんです」





即答すると、南くんは不思議そうに首を傾げていた。