蓮見はまだ『よく分からない』とでも言いたげな顔をしていたけど、とりあえず素直に、隣に座る部長にぺこりと頭を下げた。






「野沢さん、ありがとうございました」






すると部長は、鳩が豆鉄砲でも食らったような表情になった。






「………そりゃ、どうも」






そして、あたしの顔をちらりと見て、くすりと笑う。






「………筆記具課の王様は、蓮見だと思ってたけど。

どうやら、その王様をも尻に敷く女王様がいたんだなぁ」






感心したように言われたけど、あたしは全力をもって否定した。






「やめてください、部長!!

こんな自己中男と夫婦になるつもりはありませんので!!」






すると蓮見が「そりゃ俺のセリフだ!」と顔を歪める。






部長はおかしそうに吹き出した。