あたしが少し狼狽していると、蓮見は何も言わず、さらにあたしの腕を引っ張る。




そして、ちょうど座席とドアの角のところに導いて、あたしの目の前に立った。




まるで、押し寄せる人波を、自分の背中で堰き止めるように。




あたしを守るかのように。






睫毛が触れそうなほど真近に、蓮見のスーツの胸がある。






そのとき、カーブにさしかかって、電車が大きく傾いた。




その瞬間、蓮見があたしの真後ろの壁に手をつく。





結果的にあたしは、蓮見の身体の陰にすっぽりと入り込む形になった。






ーーーうわ。



なんか、気まずい………。






なにこれ、月9ドラマか少女マンガみたいな………。