「あ、ちなみに、『忙しいから』とか、言い訳になりませんから。

部下の面倒見ることまで含めて、あんたの仕事でしょ。

他室の俺の手を煩わせないでくださいよ。


そんなに山田が可哀想だと思うなら、一緒に残業してやればいいじゃないですか」






言いたいだけ言いきった蓮見は、「じゃ、俺はこれで」と軽やかに山田くんから離れた。






…………しぃん。





じーっというパソコン本体の電子音だけが、異様に大きく聞こえていた。





息を呑んで蓮見の言動をうかがっていた皆が、室を出て行こうとする蓮見の背中を目で追う。




嵐が過ぎ去るのを、息を潜めて待つ仔羊たち。