蒼ざめた顔で蓮見の動向を見守る、あわれな仔羊たち。




その中を、蓮見は仏頂面で歩き抜ける。





蓮見が通り過ぎた後には、まるで大災害を生き延びたかのような安堵の表情を浮かべる人々が群れをなす。






そして、白羽の矢が立ったのは。







「よお、山田クン?」






「………は、はっ、蓮見さん……」






今にも消え入りそうな絶望の表情を浮かべた、入社二年目の新人、山田くん。




蓮見が薄ら笑いを浮かべて、30枚ほどはありそうな分厚い書類を、山田くんの顔の前にぺらりとかざした。






「これ」





「はははははい……っ!!」







あぁ、哀れなるかな。