「あのね、蓮見。

『敬意』は尊敬すべき優れた人に対して払うもんだけどね?


『礼儀』ってゆーのはね、人間性に対して払うものじゃないわけ。

年齢とか肩書きとか、社会的地位とかに対して払うもんなわけ」






うん、我ながら良いこと言った。



そうだよ、いくら主任がしょうもない人間だからって、圧倒的に年配者で、しかも上司なんだから、とりあえず(表面的にでも)礼儀は見せるべきでしょ。





………でも、そんな常識が、蓮見に通じるはずもなく。






「ふん、くだらん」






という一言で、蓮見はあたしのありがたい高言をばっさりと斬った。







「俺の仕事の邪魔をしたあいつが悪い」







蓮見はきっぱりと宣言する。