あたしはとうとう抵抗を諦めて、全身の力を抜いた。





まさに、まな板の上の鯛………



あれ、ちがうな、なんだっけ、鯛じゃなくて………






―――あぁ、もう、鯛でも鯖でも、なんでもいいや………








きれいに整った蓮見の顔が、ゆっくりと近づいてくる。





ちろりと舌なめずりをするのが見えて、心臓がどきんと跳ねた。






あたしはどこかうっとりとした心地で目を閉じ、静かにその瞬間を待って………







――――いたのに。








「あ。そーいえば」








蓮見の動きが、ぴたりと止まった。