耳を疑って硬直するあたしの耳許で、







「キスしてえ。だめ?」







蓮見が繰り返す。






あたしはぽかーんと天井を眺めていた。




蓮見が怪訝な表情であたしの顔を覗きこんでくる。







「………なにボケてんだよ、お前」






「や、ボケてるわけじゃ。

ただ、あまりにもびっくりして、表情筋が弛緩してるだけ」






「なんでびっくりすんだよ」






「いやぁ……そりゃね……ちょっとあんた、直接的すぎませんかね?」






「はぁ?」






「もっと、ほら、オブラートに包む、的な………ねぇ?」






「俺は自分に正直な男なんだよ」