* 「はい、できたよ」 「おう。……なんだこれ」 「玉子がゆ」 「ふぅん……初めてだ」 蓮見は物珍しそうに茶碗を眺めていた。 木製のスプーンでちょびっとだけすくい、口に運ぶ。 「お、意外とうまい」 「意外とって失礼な!」 「いや、米と水と卵だけなんて、なんつう貧乏くさい料理だと思ったから」 ―――なんだろ、いちいち癪に障るな。