福島くんが顔を上げ、こくりと頷く。







「はい、まだみたいです。

珍しいですよね、蓮見さんがこんな時間まで出社しないなんて………」






「だよねぇ。あたしのほうが先に来たことなんて、一回もないと思うんだけど……」








まぁ、蓮見にだって、ゆっくりしたい日くらいあるよね。





………いや、あるのか?




いやいや、ないんじゃない??





蓮見がのんびりしている姿なんて、この五年間、一度も見たことないんだけど?






あたしは内心首を傾げつつ、パソコンの電源を入れた。





規定の始業時刻ぎりぎりになったところで、室のドアがばたんと大きな音を立てた。




みんなの目がそちらに集中する。





現れたのは、いつにも増してつっけんどんな仏頂面をした蓮見だった。