「はぁ〜……さむいっ」






吾郎とすっぱり別れてから、あっという間に一ヶ月近く。





寒さは厳しさを増し、手袋をしていても、指先がじんじんと感覚を失うくらいだ。





あたしは白い息を吐きながら、会社に向かう道を速足で歩いていた。







室に入ると、いつものように、早朝出勤組の人々が黙々と仕事に没頭していた。






蓮見ももちろん、早朝出勤組(かつ、深夜残業組でもあるところが驚異的だ)。






ーーーなんだけど。







「………あれ。蓮見、まだ?」







あたしはカバンを下ろしながら、近くにいた福島くんに訊ねた。





蓮見を恐れているのか、寸暇を惜しんで働かねばと気負っているのか、福島くんも異動してきてすぐに早朝出勤組に所属したのだ。