「……もしかして、ミドリちゃんのこと?

あれは違うんだ、ほんとにただの、大学時代の友達で」






「は? 違うよ、誰ミドリって」






「え、じゃあ、カナ?

カナは同じ中学で、成人式のときに」






「…………」






「え、カナでもないの?

じゃ、ユキちゃん? ただの幼馴染だよ」






「……………」







「それともサトコさん? サトコさんは俺の先輩の彼女さんで」







「………もういい、黙って吾郎」







あたしが低く呟くと、吾郎はぴたりと口を噤んだ。






ーーー今ので、よーく分かったよ。



分かりすぎるくらいに。






とにかく吾郎は、最低な男なんだ。




真性の最低男なんだ。






こいつに比べたら、蓮見なんて、赤ちゃんみたいに清らかで可愛らしいよね。