「よっ、蓮見の旦那。


一部始終、聞かせてもらいやしたぜ」







あたしは軽く片手を挙げ、にやにや笑いながら告げた。







「………この、出歯亀め」







蓮見が珍しく、少し困ったように眉を下げ、苦々しい顔をしている。





さすがの蓮見も、痴話喧嘩を聞かれたのは気まずいらしい。







「あんたって、つくづく最低だね。

別れ際まで見事に無神経だったよ」







「うるせえな、余計なお世話だよ」







「あーあ、佐藤さん、かわいそうだなー。

蓮見みたいな意地悪鬼畜と付き合っちゃって、しかも浮気までされてさー。


彼女がいるのに他の女の子に手ぇ出すとか、サイテー、神経うたがう」







「手ぇ出すって、なぁ………」







蓮見はなんだか歯切れが悪い口調で、頭を掻いている。