あたしは他人事ながら佐藤さんがかわいそうになってきた。




でも、ほんわかして可愛らしいイメージの佐藤さんは、意外にも根性があるというか、気が強いらしく、蓮見に言い返しはじめた。







「そういう話してんじゃないって、それはこっちのセリフよ」






「あぁ?」






「まーくんて、二人にとっての大事な話してるとき、いっつもそうやって難しい言葉つかって、はぐらかそうとするじゃない」






「俺が今どう難しい言葉つかった?」






「論点とか議題とか!」






「それのどこが難しいんだよ。佐藤、お前って本当に馬鹿だな」





「なっ」





「俺は馬鹿な女は嫌いなんだよ。話してるとイライラする」







―――この二人、ほんとに付き合ってるのか?




蓮見は佐藤さんのこと名字で呼び捨てだし、甘さも優しさも、これっぽっちもない口調。