空気が凍りつく、とはこのことだ。


究極に尊大で高圧的な態度に、会話を聞いていた全員が硬直する。



そんな中を、蓮見は悠々と通り抜け、どすんとイスに座った。



主任はというと、あまりの事態にまだ現実へ戻って来られないらしい。



無音になったオフィスの中に、ひとり平然と仕事に戻った蓮見がキーボードを叩く音だけが響き渡る。



誰もがしばらくフリーズしていたけど、徐々に空気が和らいで、一人、一人と仕事を再開しはじめた。


まるで、『私は何も聞いていません』とでも言いたげに。



主任も、やっとのことでなんとか平静を取り戻して、書類をぱらぱらとめくるのだった。