でも、もちろん、苦しさは少しも消えてくれない。





吾郎がケータイを触るたびに、そしらぬ振りをしながら、全身の感覚を研ぎ澄ませている。




仕事中も、ふとした拍子に、吾郎は今どこで誰と何をしてるんだろう、と考えてしまう。





そんな自分に、自分でも、ほとほと嫌気がさしていた。






そんな精神状態は、如実に顔に現れてしまうらしく。





今はさほど忙しくもないのに、みんながあたしの顔色を見て、このやつれ具合に驚いた顔をする。





先輩の星野さんには、「なんか追い込まれてるね、仕事かわろうか?」と心配され。




同期の橋口さんには、「その顔どうした!?」と目を丸くされ。





後輩の酒井さんや福島くんにも、「大丈夫ですか……?」と言われ。




山崎主任までもが「清水さん、早退したら?」と声をかけてくるくらい。