「………とうとう、50のババアになったか」







蓮見があたしの顔を見て、目を見開きながら呟いた。







「お前、どうしたんだよ。

どこまで老け込むつもりだ?」






「………ほっといてよ、ばか」






あたしは力なく答えて、のろのろと自分の席に座る。





吾郎の裏切りを知ってから、もう一週間が経っていた。




結局あたしは何も言い出せないまま、今までと同じように毎日を過ごしている。





一緒に起きて朝ご飯を食べ、仕事に行き、帰って来たら一緒に夜ご飯を食べ、同じベッドで寝る。





心の中では吾郎のことが嫌で嫌で仕方ないのに、あたしは何気ない顔でいつも通りに振る舞う。





明日になったら言おう、絶対言おう、と決意して眠るのに、結局次の日になっても何も言えないまま。