あーあ、どうしよ。




こんな修羅場、経験したことないから、なんて言えばいいか分からないよ………。






ぐるぐる考えているうちに、洗い物を終えた吾郎が戻ってきた。







「朋ちゃん、なんかぼーっとしてるね」






「え……そう?」





「うん、そうだよ。

今日はもうお風呂はいって、早く寝なよ」






吾郎はそう言って、あたしの頭に手を伸ばしてきた。




その瞬間に、吾郎と『ミキちゃん』のラインのやりとりを思い出す。







………この手は、昨日、『ミキちゃん』に触れたんだろうか。



そりゃ、そうだよね。




―――ホテルに行くとか、そういう話してたし。



吾郎のコートには、香水のにおいがついていた。





胸の奥のほうが、ぐうっと苦しくなる。