ほとんど眠れないまま、朝を迎える。




吾郎はあたしが起こさなければ、いつまでたっても起きてこない。




そりゃそうだよね、仕事してないんだから。






あたしはなるべく物音を立てないようにして支度をすませ、ひっそりと部屋を出た。








会社に着いて、いつも通りに仕事を始める。




一時間ほどが過ぎたところで、吾郎からラインが入った。






《朋ちゃん、いつの間に出たの?

全然きづかなかったー(>o<)》






相変わらずの能天気なメッセージ。




昨日は驚きとショックで感じなかった怒りが、ふつふつと沸いてくる。






よっぽど、《あたしの部屋から出て行け嘘つき男》とでも返そうか、と思ったけど。







他人のケータイを勝手に盗み見てしまったという罪悪感が、あたしを黙らせる。