寝室のドアの向こうから、吾郎の呑気な寝息が聞こえてくる。





吾郎は確かに、あたしの寂しさを紛らわせてくれたけど。






どこか病的に明るくて、あっけらかんとしていて。




表面的には優しいけど、何事も深く考えるということがなくて。






嘘をつくことは、吾郎にとっては何の罪悪感もないことなのだ。






その底抜けの明るさがあたしにとっては癒やしだと思い込んでいたけど、吾郎の明るさは、幻だ。







―――もう、限界。



もう、無理。






これ以上、吾郎と関係を続けていくことはできない。








あたしは溜め息をついて、ソファの上に身体を横たえ、浅い眠りについた。