―――そこで、やっと思い出した。




吾郎と別れた理由。






あたしは吾郎の浮気と嘘に気づいて別れたのだ。




今回みたいに決定的な証拠を見たわけではなかったけど。





なんだか吾郎の言動に違和感があって、問い詰めた。




吾郎は決して認めなかったけど、その目の色を見ていたら、しらばっくれているのだとすぐに直感した。





その頃も、大学生の吾郎によくお金を貸してと頼まれていて。



その理由は、父親が怪我で入院して仕送りが滞っているとか、バイト先の店がつぶれて収入がないとか、そんなこと。





それも全部嘘だったと、あとから分かった。







「………はぁ。


馬鹿だな、あたし………」







あたしは膝を抱えて顔を埋める。






同じ過ちを繰り返して、ほんとに馬鹿だ。