ゴローのケータイを放り投げるように戻して、あたしは両手で顔を覆った。





目眩がする。



吐き気がする。






ケータイなんて見ても良いことないって言うけど、ほんとだな。




怪しいと思って、ケータイ見ようと思った時点で、相手にそれだけ疑うべき点があるってことだから、良いことなんてあるわけないよね。





ああ、ほんと、見なきゃよかった………。







―――信じらんない。



ほんと、最低、最悪。







でも、気づかなかったあたしが馬鹿だ。




今思えば、おかしいことはたくさんあった。





お金のこともだけど、仕事のことも。




吾郎はなんとなく、働いている雰囲気がなかった。



SEだから、あたしみたいな普通の会社員とは違うのかな、と思ってたけど。




どう考えても、吾郎からは社会人の空気を感じなかった。