ばくばくと心臓が波打つ。






………どう見ても、女の人の髪の毛。




でも、あたしの髪じゃない。




あたしは髪を染めてなくて、黒のボブヘアだ。




この茶色い長い髪の毛が、あたしのものなはずがない。







…………うそ。




なんで?



どうして?






ねぇ、吾郎。




これは、どういうことなの?







あたしは吾郎のコートを持ったまま硬直していた。






そのとき、コートのポケットに入っていたらしいケータイが、ぶるぶると震えだした。






あたしはほとんど何も考えられず、反射的にケータイを取り出す。






画面の表示を見ると。







『ミキちゃん』







着信だ。