「………ば、馬鹿にしないでよ!!」






もー、ほんと、デリカシーのないやつ!!





あたしは再び顔を背けて、ブラウスの袖で顔をごしごしと擦った。





そのとき。







ーーーふわ。






……………え?





柔らかい感触を感じて、あたしは目を見開く。







「………ばーか」







蓮見が、あたしの頭に手を乗せていた。







「なにも泣くこたねぇだろ」







囁くような、低くて、そして、いつになく優しい声音。





なんか、蓮見の声じゃないみたい。







「虫に刺されたようなもんだろ、あんなのは」






「………だって」








蓮見の声があんまり優しいから。




あたしの口から、勝手に言葉が零れ出していく。