「この程度の文が満足に読めないようでは、仕事に影響をきたすでしょう?

中学校あたりの国語の教科書からやり直したほうがいいんじゃないですか」







小馬鹿にするような口調で言った蓮見の唇に、いつもの不敵な薄笑いが浮かんだ。







「ーーー清水は」







いきなり自分の名前が出てきて、あたしはどきりとする。





視線を上げると、蓮見と目が合った。





その瞳は、いつものように平淡な色で、何を考えているのかは、よく分からない。







「………清水は、確かに仕事が雑なところはあるけどな。

ちゃんと確認を怠らないから、大きなミスなんてするわけない。


しかも、相手の立場で物事が考えられる。

だから、読みにくい文なんて、書くわけないんだよ。


もしその文書が読みにくいんだとしたら、それは主任が清水の想像を絶するくらいに低能だってことだ。


反省すべきは主任のほうだ」