「………なんすか」



聞き耳を立てていると、蓮見のぶっきら棒な声が聞こえてきた。


主任が「蓮見くん、これだけどね」と言って、何かを差し出した様子。




「俺が作った完璧な企画書ですね」



「………そうなんだけどねぇ。

これ、ちょっと、あれでねぇ」




主任が勿体ぶったような口調で言うと、蓮見のイラッとした空気が伝わってきた。



あたしは思わず、主任の席に目を向ける。


思いっきり眉をひそめた蓮見が、冷たい目で主任を見下していた。




「………なんなんすか?

言いたいことがあんなら、もったいぶらずにさっさと言ってください。

俺、主任と違って、超忙しいんすけど」




――――わぁ………。


あまりにも無遠慮な発言に、オフィス中の視線が蓮見に集中した。