あたしは涙の滲む目を見開いた。






ちらりと目を上げると、真ん前に………






…………靴。






よく磨きこまれた感じの、光沢のある黒い革靴。





その靴が、目の前の主任のデスクの真ん中に、鎮座している。




よく見ると、靴からは脚が生えていて、あたしと主任の間に直線を引くように、まっすぐに伸びていた。







「……………え」






「……………はっ」







動転した様子の主任の声が裏返っている。





あたしは顔を上げ、靴の持ち主に目を向けた。







「……………蓮見」







すらりとしたパンツのポケットに両手を突っ込み、主任のデスクに踵落としを食らわせたらしい蓮見が、冷たい目で主任を見下ろしていた。