あたしがぶつくさ言いながら書類に目を通していると。






「清水さーん」






遠くから、あたしを呼ぶ声。




振り返ると、こっちに向かって手招きをする山﨑主任の姿が目に入った。







………うーわ、やだな。




あんのセクハラオヤジ。




いったい今度は何の用だ?






実は、あのセクハラ事件以来、何の逆恨みなのか、山﨑主任はあたしにいちいち絡んでくるようになっていた。




まぁ、テキトーに受け流してるんだけどね。





どーせまた、ちょっとした誤字脱字とかをネチネチ指摘されるんだろう。






「………はぁーい、いま行きます……」







あたしは溜め息をついて、ゆっくりと立ち上がった。