『まぁ、強いて言うなら……。


御社の過去二十年の業績報告を見せていただきましたけどね。

競合他社のものと見比べると、どうにも芳しくない。


今は景気が上向きで、しかも空前の文房具ブームで、業績を拡大する絶好のチャンスだというのに。


このままでは、老舗の看板に頼って過去の名声にすがりついているだけでは、すぐにもがたがたに崩れ落ちてしまうでしょうね』







蓮見は臆面もなく言い切った。




学生たちもとうとう顔を上げ、唖然とした表情で、えらく正々堂々と面接官に向き合っている蓮見を見上げた。






『ところで、少し話の筋が逸れますが。


俺は非常に優秀な人間です。

これは、至極客観的に見て断言できることです。


実際、俺は、自分ほどに優れた者に、これまで出会ったことがありません』







そうそう、蓮見はこの時からすでに、史上最強の自信家だった。