あたしの直前、四番目の蓮見が、名前を呼ばれて、億劫そうに立ち上がったのだ。






「他の学生たちは、みんな、こいつ一体なにを言い出すつもりだろう、って耳をそばだててるのが分かったよ。


そして、蓮見は、その期待をまったく裏切らなかったわけ」







志望動機を訊ねられた蓮見は、こう答えたのだ。






『志望動機?

俺としては、そちらがいかに俺を採用したいかをお聞かせ願いたいくらいですけどね』






その瞬間、面接室の空気は凍りついた。





こいつ、もしかして、就活ノイローゼで精神がやられてしまった、競争社会の哀れな犠牲者か?




学生だけじゃなく、面接官もそう思ったに違いない。






でも、もちろん蓮見は、正気だった。