「控え室に入ったら、何十人もの学生たちが待ってて。

みーんなあたしよりも賢そうで、身なりも姿勢も良くて、優秀そうに見えたね。


みんな、就活関連の本とか、面接ノートとかをぱらぱらめくって、面接のイメトレをしてる感じで。


一方あたしはね、何ヶ月もかけて一生懸命まとめた面接ノートを、間抜けにも家に忘れてきたことに気がついて、青ざめてるとこだった。

自己PRも、志望動機も、長所や短所も、これまでで一番の思い出も、理想の社会人像も、全部そのノートに書いてあったのに。


あたしは頭が真っ白になって、このまま面接を受けたら、きっと何も言葉が出てこないに違いない、って思って、完全にパニックだった」






「うわぁ、それはパニックですね……」







福島くんが、まるで自分のことのようにつらそうな顔をした。