「吾郎、なんでこんなとこに?」





「朋ちゃんこそー」






吾郎は雑誌を棚に戻し、にこにこしながら近寄ってくる。







「あたしは、お金おろそうと思って」






「そっかぁ。

俺はねー、今日はちょっと遅めに出勤なの忘れてて。

早く家出ちゃったから、立ち読みでもして時間つぶそーかなーって」






「へぇ、ゆっくり出勤かぁ、いいねぇ」






「でも、まさか外でばったり朋ちゃんに会えるなんて、なんか運命的だね!」






「なに言ってんだか」






吾郎が心から嬉しそうに言うので、なんだかおかしかった。






「あ、あたし急がなきゃ遅れちゃう、じゃーね!」






「いってらっしゃーい♪」






あたしは吾郎に手を振り、急いでお金を下ろしてコンビニを出た。