「しっかり働けよ、吾郎!」





「はぁい、いってきまーす」





「ん。いってらっしゃい」





「いってらっしゃいのちゅーは?」





「…………ばか」






いちいち恥ずかしいことばっかり言いやがって。





でも、吾郎が目を閉じてドアの前で待っているので、あたしは仕方なく、『いってらっしゃいのちゅー』をしてあげた。







「へへっ、これで一日がんばれるな♪」





「分かった分かった。ほら、早く」





「はーい」






吾郎はにこやかに手を振り、外へ出て行った。






吾郎を見送ったあと、あたしは洗い物を済ませ、メイクをして外に出た。




歩きながら、定期が入っているか確かめようと財布を開く。






「………あれ?」