あたしが言うと、橋口さんが目を丸くする。






「え? そーかな?

蓮見くんて確かに無茶ぶり多いけど、いちおうは都合悪くないか訊いてくれるじゃん」






「へっ!?」






今度はあたしが目を丸くする番だ。





いやいや、未だかつて一度も、蓮見から都合なんか訊かれたことないけど!?




いっつも、こっちの事情もお構いなしで、いきなり仕事ふっかけてくるのに!!







…………えっ、もしかして……。




他の人にはちゃんと訊いてたの?






あたしにだけ、なんにも訊かずに仕事ばんばん振ってたの!?






………なにそれ、ムカつくーーっ!!







あたしは怒りのエネルギーをタイピングの速度に還元させ、超人的なスピードで仕事を終わらせて会社を出た。