蓮見はしばらく黙って、参加者の顔を一人ずつ、冷徹な目でじっと見ていった。






「…………全員、いま使ってるペン、前に出せ」






有無を言わせぬ口調で命じられ、全員が慌ててペンを机の前方に押し出す。






「見ろ。他のやつが、どんなペン使ってんのか」






みんな、言われるがままに周囲に視線を走らせた。







ーーーほんとだ。



40代前半より若い人は、見事に、ちょっと高級なものを使ってる。



あたしも、三年前から使っている、一本2000円もした三色ボールペン。


たしかに高かったけど、持ったときに手にフィットする感覚と、滑らかな書き心地が気に入って、インクが切れるたびに詰め替えて使ってる。





それに引き換え、ベテラン社員たちは、一本200円以下の、使い捨てのペンがほとんどだった。