………遠慮会釈もない、とはこのことだ。




ヒートアップする前に止めねば、と焦ったあたしは、『そのへんにしとけよ』と蓮見にアイコンタクトを送った。




ーーーけど、残念ながら、通じることはなかった。







「でも、どう考えても、この新ブランド商品は高すぎる」





「私だったら買う気にもなりませんよ」





「私もそうだよ」





「こんなものを、しかも儲けもほとんど出ないものを大々的に売り出して、大失敗したらどうなる?」





「会社全体が傾きかねない」






まだ首を縦に振らない上司たちに嫌気が差したのか、蓮見はとうとう、







ーーーばんっ!!






『黙れ』とばかりに、隣に立ててあるホワイトボードを平手で叩いた。





ぶつぶつ言っていた重役たちが、いっせいに口を噤む。






蓮見は、据わった目で会議室をぐるりと見回した。