「………考えが甘いのはね、あなた方のほうですよ。


あなた方には危機感が無さすぎます」







蓮見は臆することなく、きっぱりと断言した。







「こういう文具の高品質ブランドに関しては、うちの会社は非常に出遅れてるんですよ。

競合他社、大手の文具メーカーはどこも、高品質で高価格な商品を続々と発売してるんです。


食べ物でも持ち物でも『プチ贅沢』って言葉が持て囃されてるこのご時世に。

昔ながらの、安いだけが取り柄の商品ばっかり扱ってたって、業績が伸びるわけがない。


あなた方からしたら、若かりし日の自分たちが作り上げてきた商品に愛着があるんでしょうけどね、

時流に合ってなきゃ、なんの意味もない。


あなた方の古臭い考えで馬鹿の一つ覚えを続けていたら、この会社はすぐ潰れますよ」