………でも、肩を並べている重役の皆さんは、あまり良い表情をしていない。







「……そうは言っても、ねぇ……」





「ほんとにこんな高い商品、買ってくれるの?」





「うちの文具の顧客は、若年層、とくに中高生が中心ですからね」





「安くても一本800円以上の一色ボールペンを、誰が買ってくれるんだか」





「それにこのブランドの商品は、どれも原価率が大きすぎますよね」





「そうそう、これじゃ、たとえ万が一売れても、儲けが少なすぎるでしょ?」







………これでもかと、マイナスの言葉が蓮見に浴びせかけられる。




蓮見は表情を変えることもなく、仏頂面ともいえる顔つきで、お偉いさんたちをぐるりと見渡した。





その唇に、薄い笑いが浮かぶ。



ゆっくりと瞬きをした蓮見が、おもむろに口を開いた。