隣を歩く蓮見が、ちらりと視線を送ってくる。



朝の透明な光の中で見る蓮見は、やっぱり顔だけは最高級だ。






「………お前、大丈夫なの?」






ぼんやり眺めていると、蓮見がそんなことを訊いてきた。



何の話だか分からなくて、あたしは首を傾げる。





蓮見が焦れたように、「だから、昨日のセクハラのことだよ」と言った。






「あぁ………別に、なんてことないけど」





「ほんとかよ。お前、ゆうべはずいぶん荒れてたくせに」





「え、覚えてないし」





「泣きわめきながら、『めちゃめちゃキモかった!死ねヤマザキ!』って暴れてたぞ」





「………まじで?」






あたしはかーっと顔が紅潮するのを感じた。