マンションを出ると、まったく見覚えのない道。



ほんとに泥酔して爆睡してたんだな………。






「ここ、どこ?」




「K駅の近く」




「あ、そーなんだ。あたしんちと同じ沿線だ」




「ふうん。じゃ、帰りやすいな」





しばらく行くと、川沿いの道に出た。



土曜日の早朝ということもあって、周りには車も人もほとんどいない。




散歩をしている老夫婦と、道路を横切っていく白猫だけが動いていた。






「のどかだねぇ」






あたしは無意識のうちに呟く。



ゆうべから今朝にかけての怒濤のような出来事の嵐が、まるで何年も前のことのようだ。