「ありがと。じゃ、帰るね。

お世話になりました」






あたしが玄関まで来て頭を下げると、蓮見は「送ってやる」と言って靴を履きだした。






「えっ、いいよ別に。

蓮見のくせにそんな気ぃつかわなくても」






蓮見に送ってもらうなんて、妙な感じだし。



ってゆーか、もう朝だし、夜道とかじゃないんだから。




そう思って断ったのに、蓮見は「馬鹿め」と薄く笑った。






「お前、帰り方わかんのか?」





「え……っ、あ」





「いちいち間抜けなやつだな」






―――返す言葉もない。





ふん、と笑って、蓮見が玄関のドアを開ける。



あたしは黙って蓮見の後をついて出た。