キッチンでコーヒーを淹れる蓮見の後ろ姿に、あたしは声をかける。






「そーいえばさぁ、蓮見」





「ん?」





「あたし、なんでここにいるの?」






その瞬間、蓮見が目を瞠った。






「は? 覚えてないのかよ!」





「あははー、まったく!」






記憶を失くすことなんて、ここ数年は無かったんだけど。




ゆうべはだいぶ飲んだのか、正直まったく、なーんにも覚えていない。





あたしはなんで、蓮見の部屋なんかにいるんだろう?







「お前なぁ……いくらなんでも飲み過ぎだよ。

27にもなって記憶失くすまで飲むとか、恥ずかしいやつだな」






「しょーがないじゃん、失くしちゃったもんはー。

いいから昨日のこと教えてよ」